
行政書士
宮本絵理
美容業界やワイン輸入会社での経験を経て行政書士として独立。「お酒で世の中を幸せにしたい」という想いのもと、酒類販売免許の取得をサポートします。
元ワイン業界のプロとして、法令遵守の範囲で「どうすれば実現できるか」を一緒に考え、お客様の事業に寄り添う伴走型の支援が強みです。
基本情報:特定行政書士|酒販免許|ワインエキスパート🍷
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[通信販売酒類小売業免許]
お酒をネットで販売するためには、どのような免許が必要でしょうか?
この記事では「通信販売酒類小売業免許」の基本知識や取得の流れ、販売時の注意点などを初心者にも分かりやすく解説します。ネットショップで酒類販売を考えている方は必見です。
目次
通信販売酒類小売業免許は、2つ以上の都道府県の消費者等を対象に、販売手段としてECサイトやカタログ等を通じてインターネットや電話などにより通信販売ができるようになる免許です。1つの都道府県しか販売対象にしないという事であれば、一般酒類小売業免許だけで通信販売が可能ですので、通信販売酒類小売業免許の取得は不要です。
オンラインで酒類を扱う場合、販売業免許を受けないで酒類の販売業を行った場合は酒税法上、1年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処されます。基本をしっかりと押さえておくことが重要です。
この免許は酒税法に基づき、事業所の管轄の税務署長から受ける免許の一種です。一般酒類小売業免許との違いは、「通信販売」に特化している点です。
通信販売免許を取得することで、直接店舗で販売するのではなく、オンラインで受注し、商品を発送する形式が可能となります。ただし、この免許があるからといって全てのお酒を自由に販売できるわけではなく、法律で定められた範囲内での販売に限られます。
通信販売酒類小売業免許は、酒税の適正な管理や未成年者への販売防止など、健全な酒類販売を目的として設けられています。このため、免許の申請や取得には厳格な条件が定められており、取得後も遵守すべき義務がいくつか存在します。
たとえば、販売時には商品の詳細な情報を表示することや、未成年者への販売を確実に防ぐ仕組みを設けることなどが求められます。
通信販売酒類小売業免許を取得した場合、どのような酒類を販売できるのでしょうか?このセクションでは、法律で定められた販売可能な範囲について詳しく解説します。
一般酒類小売業免許ではどんなお酒でも販売する事ができます。一方、通信販売酒類小売業免許の場合は、国産酒のケースで注意が必要です。
国産酒の場合は、品目ごとの課税移出数量がすべて3000キロリットル未満である酒類製造者が販売するお酒しか販売できません。輸入酒に関しては、制限がありません。
国産酒を通信販売したい場合は、その酒類製造者に「課税移出数量が3000キロリットル未満」という証明書が必要です。
酒類製造者と直接連絡が取れない場合は卸売業者を通して頼んでもらうなど、証明書を取得する必要があります。国産酒の通販を検討されている場合は、「販売できるお酒なのかどうか」、「証明書が入手できるのかどうか」を確認しましょう。
輸入酒および国産酒のうち上記の販売制限をクリアしたお酒のみ販売が可能です。
また、インターネット上でECサイトを設ける際には、20歳未満への販売防止の対策や特定商取引法に基づく表示が厳格に求められます。
通信販売では、購入者の年齢確認を確実に行うことが特に重要です。オンライン販売では対面での確認ができないため、生年月日の入力や身分証明書の確認システムを導入することが推奨されています。また、商品の説明ページには酒類の種類やアルコール度数、適切な飲み方を明記することで、購入者に正しい情報を提供することも求められます。
通信販売酒類小売業免許を取得するためには、正確な手続きを踏むことが重要です。ここでは、申請の流れ、必要書類の詳細、税務署での手続き、審査をスムーズに進めるためのポイントについて詳しく解説します。
通信販売酒類小売業免許を取得するには、以下の流れを進めます。
これらの流れについて、順番に詳細を説明します。
まず販売場を管轄する税務署に相談し、通信販売酒類小売業免許の取得条件や必要書類について確認します。相談時には、販売を計画している酒類の種類、ネットショップの運営形態、販売方法について具体的に説明すると、税務署の担当者から的確なアドバイスを受けやすくなります。この段階で、申請に必要な書類のリストや、申請書作成時の注意点について教えてもらうことが可能です。
免許の申請には、以下の書類が必要です。
書類が揃ったら、販売業免許を受けようとする販売場の所在地を管轄する税務署に提出します。この際、提出前に全ての書類が正確に記載されているかを再確認しましょう。申請内容に不備があった場合、税務署から修正依頼が来て手続きが遅れることがあります。
審査は通常、申請から2か月から3か月程度かかります。この間、税務署の担当者から追加の質問や資料提出を求められることがあります。迅速に対応することで、審査をスムーズに進めることができます。
審査に問題がなければ、通信販売酒類小売業免許が通知されます。
免許が通知されると、いよいよネットショップでの酒類販売が可能になります。ただし、免許通知後も販売管理体制を維持し、法令を遵守することが必要です。
ネットショップで酒類を販売するには、免許取得後も法令や運営における注意点を理解し、適切に対応する必要があります。このセクションでは、酒類販売時に特に気をつけるべきポイントについて解説します。
酒類の販売は、酒税法や未成年者飲酒防止法などの規制を厳守することが求められます。例えば、購入者の年齢確認を徹底することが重要です。オンライン販売では対面での確認ができないため、購入手続き時に身分証明書を提示させるシステムや、生年月日入力による確認を導入することが一般的です。これに加え、免許で認められている範囲を超えた販売を行わないよう注意が必要です。
購入者とのトラブルを防ぐため、商品の説明や販売条件を明確に記載することが大切です。たとえば、アルコール度数や飲み方の注意点、保存方法などの情報を正確に表示することが求められます。また、返品やキャンセルの対応についても事前にポリシーを明示しておくと、利用者との誤解を防ぐことができます。
酒類は適切な温度や湿度で保管しなければ品質が劣化する場合があります。そのため、保管環境を徹底的に管理することが求められます。特に、季節や保管期間によって品質に影響を及ぼす商品については、適切な倉庫管理が必要です。さらに、在庫が不足したり、過剰になったりしないよう定期的に見直しを行うことも大切です。
ネットショップで酒類を販売する場合、「酒類販売管理者」を選任することが義務付けられています。このセクションでは、その役割や選任の方法について詳しく説明します。
酒類販売管理者は、適切に酒類を販売するための責任者として、法律で定められた役割を果たします。その主な業務は、販売時における法令遵守を確保するために必要な助言又は指導を行うことです。たとえば、未成年者に対する販売の禁止や、広告表示の適正化などが挙げられます。酒類の販売に関するトラブルを防ぐため、この管理者の存在は欠かせません。
酒類販売管理者を選任するには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、選任される人は国税庁が指定する「酒類販売管理研修」を受講し、修了証を取得しなければなりません。この研修では、販売時の法律遵守や管理体制の構築についての知識を習得します。研修は年に数回開催されるため、事前にスケジュールを確認しておくとよいでしょう。
また、酒類販売管理者は、店舗の運営者や従業員の中から選ぶことが一般的ですが、酒類販売の業務に直接関与している人であることが条件となります。特にネットショップの場合でも、実際の運営を監督できる立場の人を選任する必要があります。
酒類販売管理者を選任する際には、まず研修の申し込みを行います。研修を修了すると、修了証が発行されるため、そのコピーを店舗の運営記録として保管します。そして、税務署に報告する際には、修了証の提出が必要となる場合があります。選任後は、継続的に販売管理体制を見直し、法令遵守を維持することが求められます。なお、酒類小売業者は、酒類販売管理者に、前回の受講から3年を超えない期間ごとに研修実施団 体が実施する酒類販売管理研修を受講させなければなりません。
ネットショップで酒類を販売するためには、「通信販売酒類小売業免許」を取得することが必須です。この免許を取得する過程では、必要な書類や手続きについて正確に理解し、税務署の審査に対応することが重要です。また、免許取得後も、酒類販売管理者の選任や表示基準の遵守といった、法令を守るための取り組みを継続的に行わなければなりません。
特に、未成年者への販売防止や適切な在庫管理、販売ページでの正しい情報表示は、ネットショップ運営において欠かせない要素です。これらを怠ると、法令違反による罰則や顧客からの信頼喪失につながるため、注意が必要です。
成功するネットショップ運営のためには、免許取得や法律遵守のポイントをしっかり押さえ、計画的に準備を進めることが大切です。この記事で解説した内容を参考に、スムーズな開業と運営を目指してください。
はい、個人でも通信販売酒類小売業免許を取得することは可能です。ただし、取得には一定の条件を満たす必要があります。たとえば、酒類を販売するにあたり十分な知識や事業を運営するのに必要な知識や経験があることや、未成年者への販売を防ぐ仕組みが整っていることなどが求められます。個人での取得を検討している場合は、事前に税務署で相談することをおすすめします。
通信販売酒類小売業免許では、国産酒のケースで注意が必要で、輸入酒には制限がありません。また、未成年者への販売を防ぐための対策が不十分な場合、販売を停止される可能性があります。
酒類販売管理者の研修は、各地域の指定された機関で実施されています。研修は各団体で頻繁に開催されており、事前に申し込みが必要です。研修では、酒類販売に関する法律や販売管理体制の構築方法などについて学びます。修了後には修了証が発行されるため、これを保管し、必要に応じて税務署に提出してください。
未成年者への販売を防ぐためには、オンライン購入時に身分証明書の提示を求める仕組みを導入することが有効です。また、生年月日を入力させるフォームを設置することや、「未成年者への販売は禁止されています」という表示を販売ページに記載することも重要です。これらの取り組みを徹底することで、トラブルを防ぎ、法律を遵守することができます。
大きく4つの要件が挙げられます。
それぞれの要件についての詳細はこちらの記事をご参照ください。
通信販売酒類小売業免許の取得には、登録免許税として3万円が必要です。この金額は税務署から免許が通知される際に納付します。登録免許税の納付を証明するために、領収証書を提出書類に添付する必要があるため、手続き時に漏れがないよう確認しましょう。
登録免許税は、税務署で発行される専用の納付書を使用して支払います。納付書に必要事項を記入し、税務署または金融機関で納税します。納付後は、領収証書を受け取り、これを申請書類に添付する必要があります。
酒類を通信販売で提供する場合、カタログ形式で商品を紹介することも可能です。ただし、カタログにはアルコール度数や原材料などの情報を正確に記載しなければなりません。また、未成年者の飲酒を防ぐ旨の注意喚起も必須です。さらに、カタログを使用する際は、購入者の年齢確認ができる仕組みを併用することが求められます。
はい、アルコール度数が22度未満の商品も通信販売酒類小売業免許が必要です。たとえば、ビールやワイン、日本酒などの一般的な酒類はほとんどが22度未満ですが、免許なしでの販売は法律違反となります。ただし、ジュースやノンアルコール飲料の販売にはこの免許は不要です。
通信販売酒類小売業免許の申請には、必要書類の一つとして納税証明書が必要です。この証明書は、申請者が過去に税金を適切に納付していることを示すためのもので、法人または個人の所在地の都道府県および市町村で発行されます。不備があると申請が遅れる場合があるため、請求前に内容をよく確認してください。
通信販売酒類小売業免許は、2都道府県以上の広域にわたり通信販売等の方法で消費者に販売する場合に必要です。ただし、免許の種類は販売形態ごとに異なります。たとえば、通信販売専用の免許を取得する場合、店舗での販売用の免許とは異なるため、それぞれに応じた申請が必要です。
通信販売酒類小売業免許は、2都道府県以上の広域にわたり通信販売等の方法で消費者に酒類を販売する際に使用されるもので、都道府県ごとに特別な免許を取得する必要はありません。
通信販売酒類小売業免許を取得していれば、製造者から直接仕入れた酒類を販売することは可能です。ただし、仕入先が適切な許可を持っている業者であることを確認する必要があります。さらに、仕入れた酒類を販売する際は、適切なラベル表示や年齢確認を徹底することが求められます。
酒類販売管理者は、販売する建物に常駐している必要はありません。ただし、酒類の販売が適正に行われているかを定期的に監督し、問題が発生した際には迅速に対応できる体制を整えておくことが求められます。管理者としての責任を果たすことが最も重要です。
通信販売酒類小売業免許を取得することで、2つ以上の都道府県の消費者等を対象に、ECサイトやカタログ等で、インターネットや電話などにより通信販売ができるようになります。これにより、地域を限定せずに販路を広げることができるため、売上の拡大が期待できます。また、適切な免許を取得していることで、信頼性のある事業者として消費者からの評価を高めるメリットもあります。
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