
行政書士
宮本絵理
美容業界やワイン輸入会社での経験を経て行政書士として独立。「お酒で世の中を幸せにしたい」という想いのもと、酒類販売免許の取得をサポートします。
元ワイン業界のプロとして、法令遵守の範囲で「どうすれば実現できるか」を一緒に考え、お客様の事業に寄り添う伴走型の支援が強みです。
基本情報:特定行政書士|酒販免許|ワインエキスパート🍷
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[酒類販売業免許]
角打ち酒場を開業したいと考えている方にとって、どのような営業スタイルを選ぶかによって取得すべき免許が大きく異なります。この記事では、角打ちの基本的な意味から、イートイン型・立ち飲み居酒屋型・試飲スペース型の3つのスタイルに分け、それぞれに必要な「酒類販売免許」や「飲食店営業許可」の違いを解説します。また、飲食と販売を併用する際の注意点や、仕入れ・運営に関する法的な要件についても詳しく紹介しています。開業前に必ず押さえておきたいポイントを、実務の視点でまとめた内容です。
目次
こんにちは。今日は角打ち酒場の免許申請について解説していきます。
皆さん、角打ちというとどんなことか分かりますか?
今では、かなり幅広い意味で使われていますが、本来の角打ちとは、江戸時代に酒屋で日本酒などを量り売りしていて、それを四角い升に入れて飲んだことに由来します。
そこから発展して、酒屋で買ったお酒をその場の一角で立ち飲みするスタイルを角打ちと呼ぶようになりました。本来は、購入したお酒をイートイン的に立ち飲みすることを指していたのです。
現在では、酒屋の一角に飲食スペースを併設してお酒が飲める店や、単に立ち飲みの店を「角打ち」と呼ぶケースも見られます。
立ち飲みスペースを併設した酒屋を始めたい場合、お酒の免許は必須です。
この場合は、一般酒類小売業免許の取得が必要です。加えて、角打ちのスタイルによっては、食品衛生法上の飲食店営業許可も必要になる可能性があります。
以下の3つのスタイルを想定して、それぞれのケースで必要な免許を解説していきます。
お客様が購入したお酒を自分で栓を開けて、その場で飲むスタイルであれば、基本的に飲食店営業には該当しません。酒類販売免許のみで営業が可能です。
ただし、店員が開栓したり、グラスに注いだり、グラスを洗ったり、長居を前提とするような環境を提供した場合は、食品衛生法上の飲食行為と見なされる可能性があります。
イートイン形式で飲食店営業許可を不要とするには、使い捨てコップを使い、お客様がセルフで飲む形にする必要があります。
ショップの隣にスタンドを併設し、店員が開栓してグラスに注ぎ提供する形式は、完全に飲食店営業に該当します。
このスタイルでは、酒類販売免許に加え、飲食店営業許可の取得が必須です。
試飲にもいくつかのパターンがあります。飲食店営業許可が不要な場合としては、販売目的で少量のお酒を使い捨てカップで提供するケースが挙げられます。
一方、店員がグラスに注いで提供する形式や、洗浄して再利用するような形であれば、衛生上の問題もあるため、飲食店営業許可の取得が必要になります。
角打ちのスタイルによって、必要な許可は大きく異なります。必ず事前に相談することをおすすめします。
角打ちスペースが飲食店営業に該当し、酒類販売免許に加えて飲食店営業許可も取得する場合には、いくつかの注意点があります。
本来、酒類販売免許は飲食店営業スペースとは同一場所では取得できないとされていました。これはお酒の流通ルートの違いが理由です。
しかし最近は、一定の要件を満たせば併用も可能となっています。
場所の区分けは必須です。どの程度の分離が必要かは個別対応となりますので、事前にご相談ください。
また、仕入れ、発注、保管倉庫、代金決済、記録管理などをすべて卸売用と飲食用で分けて管理する必要があります。
酒類事業の経験がある方ならご存じかもしれませんが、仕入価格も卸用と飲食用では異なることが多く、仕入先の免許の種類にも注意が必要です。
卸売免許しか持っていない酒屋から飲食用として仕入れることはできません。
飲食店営業許可と酒類販売免許を両方取得して角打ちを運営するには、場所の区分けと運営上の分離が非常に重要です。
まずは、現在考えている提供方法に基づき、必要な免許や許可が何かを確認するため、事前に必ずご相談ください。
以上となります。最後までご視聴いただきましてありがとうございました。
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